Yukina's Orangedays Diary

最近は子育て記録です。

朝井リョウ『少女は卒業しない』感想 春に読むと感情移入がやばい本

朝井リョウ『少女は卒業しない』を読みました。

結論から言うと、号泣でした…。

三月末から四月頭に読むのはダメです。

この時期のいろいろな別れが頭をよぎって感情移入してしまって切ない。苦しい‼︎

『少女は卒業しない』は取り壊される高校の最後の卒業式を、七人の少女の視点で描いた短編集です。

内容は正直言って陳腐だと思います。

少女漫画にありがちの、先生と生徒の恋とか、ちょい悪の男の子と真面目な女の子の幼馴染とか、送辞で告白とか、恋人の死とか。

よく描かれる割に「いやいや、現実でそれはないでしょ…」みたいなね。

そんなありがちな内容の小説なのに、こんなにも一頁ずつゆっくり読みたくなってしまうのは、避けられない別れの寂しさや希望みたいなものが文章から溢れ出しているからです。共感しかない。

ずっと変わらず一緒にいられるなんてことはないこと、別れはいつか絶対にやってくること、「またいつか会おうね」なんて言っても、結局二度と会えないこと、会えない生活にいつかはきっと慣れてしまう、それがすごく寂しいこと、そんな別れの心境が「卒業」に集約されていて、学生生活から離れて数年経つわたしでも胸が締め付けられるような思いでした…。

わたし自身、学生の頃の「卒業」で「別れ」をひしひしと感じることは実はありません。

いまはメールもSNSもあるし、会いたければ会えるでしょ、と思っていたし、何より会えなくなることが寂しくてつらくて耐えられないほどの人に出会ってきませんでした。

というか、ここでの問題は男女関係なんですよね。

友だちなら卒業してもいつでも会えるけど、わたしの場合、異性ってなかなか難しい。

むしろ社会人になってからの方が別れがつらいです。

お世話になった上司が退職したとき、友だちと違って、上司だし男性だし、今後連絡を取ることも会うこともそんなにはないだろうと思うと、悲しくてどうしようもない気持ちでいっぱいになりました。

『少女は卒業しない』の最初の短編『エンドロールが始まる』の中で、「この本を返したら、先生と生徒という関係さえなくなって、私は先生と正真正銘の他人になる。特別な理由でもなければ、毎週金曜日に先生に会えなくなる。それぞれ別々の、ふたつの春が始まってしまう」という文章があるんですが、これはこの話の先生と生徒の関係だけじゃなくて、すべての人間関係に言えることですよね。

いまいる場所から離れて、それぞれ別々の道に進むということはなんと寂しいことなのか。

このあたりの気持ちがわかりすぎて涙がとまらなくなるので、三月の別れを引きずっている人は是非読むといいと思うよ。